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中辻特許事務所

進化するAIと人間の共存! AIに精通する事務所のTM-RoBo活用法


はじめに

知財業務においてAI活用戦略は重要性を増しており、どのようなツールをどのように活かすかが知財業務にかかわる企業の成長の行方を左右する時代を迎えています。
今回は、「TM-RoBo」を導入した中辻特許事務所の中辻史郎弁理士に、導入の経緯や導入効果の実例についてお話をうかがいました。
中辻特許事務所は、AIの特許出願を得意とされている事務所ですが、商標業務にも力を入れてこられています。AIに精通されている特許事務所が知財のAI化についてどのように捉えているのか、商標調査AIをどのように活用しているのか、突っ込んだお話をお聞きできましたので、是非御覧ください。




中辻特許事務所様中辻 史郎先生
※以下、敬称略


中辻特許事務所様のAI、DX推進方針

(IP-RoBo)貴事務所は、特許調査・出願が業務の大半を占めていますね。

(中辻)はい、当事務所の業務の内訳は、特許調査・出願が90%、商標出願が5%、権利侵害の対応が5%です。しかしここ数年、中小企業やスタートアップの相談を数多く受ける中で、あらためて商標の重要性を痛感しました。そこで、今後はこれまで以上に商標に力を入れて、顧客のニーズに対応できるようにしたいと考えています。

(IP-RoBo)商標調査は月にどのくらい扱われているのでしょうか?

(中辻)月によってバラツキがありますが、平均して数十件程度です。

(IP-RoBo)商標調査に関わるスタッフ構成について教えてください。

(中辻)商標調査は、弁理士2名、補助者3名の体制で対応しています。

(IP-RoBo)おもな顧客層や業種の特徴などはありますか?

(中辻)大企業から中小企業、スタートアップまで幅広く対応しています。業種は千差万別です。

(IP-RoBo)では、力を入れている分野などはありますか?

(中辻)現在日本の企業は340万ほどあり、そのうち商標出願の経験のある企業は1万社程度です。言い換えると、多くの企業、とりわけ中小企業は商標制度を知らないケースが多く、たとえ商標制度を知っていたとしても商標権に対応する余裕がないのが実情です。この結果、例えばスタートアップ企業がシリーズA~シリーズBに移行したときに、他社の商標権の存在により思いもよらないトラブルに巻き込まれる場合があります。特許権と同様に商標権を巡る争いに巻き込まれると、時間的、経済的なリスクが生じます。このような状況を避けるためには、何よりも事前のクリアランス調査(侵害予防調査)が重要です。特に、商標を意識していない中小企業に商標の重要性、調査の必要性を認知して頂くことが重要だと考えています。こうしたことから、中辻特許事務所では、今まで商標を意識していなかった顧客層を重視しています。








(IP-RoBo)事務所の強みについてもお聞かせください。

(中辻)事務所全体としては、経験値・思考力の高い弁理士が多い点が特徴です。中辻個人としては、陸上自衛隊の元幹部自衛官(幹部技術高級課程出身)であるため、使命感は誰よりも強く、また「戦いの原則(戦略・戦術)」の学習と実行を通じて戦略論に関する見識を育成してきた点が強みかも知れません。なお、大学院在籍時に(第1次AIブーム)からAIを研究テーマの一つとして取り組んできたため、機械学習(ランダムフォレスト、light GBM等)、強化学習、深層学習、生成AI、ブロックチェーンなどには比較的強いと思います。

(IP-RoBo)知財分野でのAI活用についてどうお考えですか?


(中辻)ChatGPT-5をはじめとする昨今の生成AIの能力は非常に高く、DifyやAIエージェントの普及により、誰もが簡単にAI活用ができるようになってきました。
GPT-OSS、Gemini、LlaMA、Claude等のLLMや、Cursor、Codex CLI、Genspark、Manus等の各種ツールが次々と登場し、今後、AI能力がさらに指数関数的に向上するでしょう。そのような中、誰が否定しようとも知財分野におけるAI活用は進行します。
この点について、疑う余地はありません。その際のキーポイントは、非公開のナレッジ(知識)をグラフ構造化して集約したナレッジベース(RAG)であると考えています。
多くの生成AIは、「学習済み分布からの逐次サンプリング」を行っており、現時点では弁理士の経験値・思考力に基づく「閃き」を呈示するまでは至っていないからです。
いかにして、優れた「閃き」を提供できるかが、知財分野においても鍵を握ると考えています。



TM-RoBo導入前の知財業務と課題


(IP-RoBo)TM-RoBo導入前は、どのような商標調査ツールを使っていましたか?

(中辻)基本的にはJ-PlatPatを使っていました。無料で使える点は魅力でしたが、機能面では限界を感じていましたね。

(IP-RoBo)具体的な調査の流れについても教えていただけますか?

(中辻)商標担当の弁理士がひとりで調査から判断まで一貫して行っていました。人手が限られていたため、効率との兼ね合いが課題でした。

(IP-RoBo)商標調査では主にどんな内容を扱っていましたか?

(中辻)先行技術調査とクリアランス調査が中心です。商標が既存のものと抵触しないかを丁寧に見極める作業です。


(IP-RoBo)一つの商標調査にかかる時間はどれくらいでしょうか?


(中辻)ケースバイケースですが、J-PlatPatを利用していた頃は、調査に約1時間、判断に約1時間程度がかかっていました。

(IP-RoBo)導入前に感じられていた課題や問題点があれば教えてください。

(中辻)調査漏れのリスクを課題としていました。いくら慎重に調査しても、人間の判断には限界があるため、常に不安はありました。

 

 
 

TM-RoBo導入の経緯


(IP-RoBo)商標調査にAIを活用することについて、当初はどう感じられていましたか?

(中辻)参考になるとは思っていましたが、正直に申しますと、商標法第3条(識別力)の判断はAIには難しいと予測していました。このため、当初は、弊所の商標実務の思考をナレッジ化したRAGを構築し、中辻特許事務所としてのAIエージェント(RAG+LLM)を構築しようと考えていました。


(IP-RoBo)AIサービスを検討し始めたきっかけは何だったのでしょうか?

(中辻)J-PlatPatによる検索を効率化したかったというのが一つ目の理由です。また、自前でAIエージェントを利用する場合には、どうしても主観的な判断結果になりますので、客観的な判断結果をAIサービスに期待したのが二つ目の理由です。


(IP-RoBo)TM-RoBoの存在はどのように知ったのですか?

(中辻)2024年の特許情報フェアで初めて目にしました。展示の内容が非常に具体的で、興味を持ちました。


(IP-RoBo)トライアル前に感じていた不安や疑問点はありましたか?

(中辻)すでに説明したように、識別力の判断に対する不安がありました。人間でも難しい部分なので、TM-RoBoがどこまで対応できるか注視していました。

(IP-RoBo)導入検討時に比較された他社ツールはございましたか?

(中辻)もちろん他社ツールも検討しました。商標の文字検索に関しては、TM-RoBoが最良であると判断しました。その理由は、TM-RoBoの説明により「どのような処理を行っているのか」のアウトラインを概ね把握できたからです。

 

 




(IP-RoBo)トライアル期間中に注目したポイントや検証方法を教えていただけますか?

(中辻)識別力の判断が適切かどうかを重視して、ベテランの商標担当弁理士の見解とTM-RoBoの結果を照らし合わせることで検証しました。当初の予想よりも整合性が高かったです。


(IP-RoBo)TM-RoBoの検索精度はいかがでしたか?

(中辻)弁理士との判断に大きな違いがなく、精度の高さが導入の決め手にもなりました。


(IP-RoBo)使いやすさについても、ぜひ感想をお聞かせください。

(中辻)分離観察ができる点は特に素晴らしいと感じました。複雑な商標でも構成要素を分けて見られるので助かっています。


(IP-RoBo)トライアル後、不安は解消されましたか?

(中辻)はい、懸念点は解消されました。必要な項目を期間中にすべて試すことができたので、納得の上で導入を決定しました。ただし、TM-RoBoの結果だけを鵜呑みにするのではなく、弊所独自のナレッジベースを構築して精度を向上させる仕組みも検討しています。


(IP-RoBo)他社との比較評価もお願いできないでしょうか。

(中辻)色々と差し障りがありますので、比較評価は勘弁して下さい。ただ、TM-RoBoについては、現時点で十分満足しています。



TM-RoBo導入により知財業務が劇的に改善


(IP-RoBo)導入の決め手となった要因は何だったのでしょう?

(中辻)導入する価値が期待値を上回った点です。迅速に商標調査、商標出願を行ううえで、TM-RoBoは非常に有効だと思います。


(IP-RoBo)現在の活用方法について具体的に教えてください。

(中辻)ヒアリング時点で即時判断の材料として活用しています。特に、オンラインで面談を行う場合に、補助者がTM-RoBoの結果と生成AIの結果を算出しておき、弁理士がその結果を踏まえて判断するという手順を採用しています。

(IP-RoBo)導入後、業務にどのような変化が生まれましたか?

(中辻)一次調査を簡易に行えるようになったことで、商標担当弁理士の労力を軽減できるようになりました。



(IP-RoBo)調査効率の変化についても教えてください。

(中辻)劇的に改善しました。
一件あたりの作業時間が大幅に短縮されたことで、全体の業務がスムーズになっています。具体的には、今まで全ての案件に商標担当弁理士が同席していたため、面談のスケジュール調整に時間が掛かり、面談が一週間後になるケースがありました。
しかし、TM-RoBoを導入してからは、補助者がTM-RoBoを操作して事前準備をした後に、調査結果を弁理士がチェックすることができるようになりました。
特に、弊所では、AIエージェントを活用して資料の共有を行っています。
このため、商標担当弁理士は、複数の業務を掛け持ちしながら並列的に業務を行うことが可能になりました。


 

 
 


(IP-RoBo)そのほかTM-RoBo導入によって変化した点はありますか?

(中辻)TM-RoBoの結果と弁理士の評価を合わせて通知できるようになったことで、お客様への説得力が高まりました。


(IP-RoBo)効率化で浮いたリソースはどのように活用されていますか?

(中辻)弁理士及び補助者が他業務に時間を回せるようになったのは大きいですね。弁理士が、一人で数時間を掛けて商標調査を行っていた案件を数十分で処理できるようになりました。5~10倍、効率化したと言えます。


(IP-RoBo)AI導入について公表されていますか?

(中辻)はい、公表しています。

(IP-RoBo)公表された理由や反応についてもお聞かせください。

(中辻)時代遅れの印象を与えないためですね。

 





TM-RoBoの魅力と期待


(IP-RoBo)TM-RoBoの効果が特に高いと考えられる事務所はどんなタイプでしょうか?

(中辻)スタートアップ支援を積極的に行っている事務所だと思います。スタートアップは、とりわけスピードと効率を重視する傾向がありますので、相性が良いですね。


(IP-RoBo)導入を検討している事務所に向けて、アドバイスをお願いします。

(中辻)やり方次第でクライアント獲得のチャンスが広がります。ぜひトライアルを通じて使い方を工夫してみてください。


(IP-RoBo)TM-RoBoの魅力的な点は何だと思いますか?

(中辻)バランスの良さですね。商標調査の全体像において、活用できる場面が非常に多いと感じています。


(IP-RoBo)今後に期待する機能についてもお聞かせください。

(中辻)図形対応への拡張に期待しています。海外商標対応も加わると、さらに可能性が広がるでしょう。また、すでに実現されているかも知れませんが、ナレッジベースの構築・充実にも期待しています。

 


 取材日:2025年8月6日

AIに精通した事務所様から、このような評価を頂けたこと、非常にうれしく思います。
今回のインタビューでは、導入の経緯やトライアル期間についてのお話しも詳しくお聞きすることができましたので、TM-RoBoを検討している皆様の一助となりましたら幸いです。
また、TM-RoBoを活用することによる「効率化」という即物的な成果だけでなく、顧客への説得力やスタートアップ支援といった「付加価値」まで広がった熱い想いをお聞きすることができました。
この度は貴重なお時間をいただきありがとうございました。


今後もTM-RoBoを導入されているユーザ様にインタビューを行う予定です。
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