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コラム

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商標調査の基本#05「商標出願・登録件数の推移からみる調査の質の変化」

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「商標調査の基本」シリーズ最終回です!
“商標出願件数と登録査定件数から見る調査の質の変化”についてお届けいたします。最後までどうぞお楽しみに。


#商標出願・登録件数の推移からみる調査の質の変化


中村先生(以下、中村):前回の
#04でも話題に上がりましたが、中国企業や中小企業、個人の出願によって件数が増えて審査期間も延びているというお話をしましたが、1つ表をみながらその推移を見てみましょう。



参考:Markstone事務所資料
問い合わせ先:審査業務課、商標課、審査業務課登録室
注1:出願件数は通常出願(国際商標登録出願を含む)、防護標章登録出願、防護標章出願に基づく更新登録出願の合計
注2:登録件数は通常出願(国際商標登録出願を含む)、防護標章登録出願、防護標章出願に基づく更新登録出願の合計




中村:2013,4年あたりまでは、実はそこまで審査期間は長くありませんでした。おそらく、2015年あたりからじわじわ伸びていますね。



IP-RoBoスタッフ(以下、スタッフ):でも登録件数を見るとあまり変わっていないので、だいぶ査定時に削がれているということでしょうか?



中村:そうですね、タイムラグはありますが7,8万件なくなってますね。



スタッフ:これは、出願のレベルが落ちているのか審査基準が高くなっているのかどちらでしょうか?



中村:前者ですね。やはり、商標の知識が全くない人が自力で出願するとなるとなかなか難しいのだと思います。
最近は、「商標出願簡単です!」と言われていますが、確かに手続き自体は簡単です。
書類のフォーマットも特許庁のサイトからダウンロードして、商標・指定商品・権利者の住所・名前さえ埋めれば出願できます。ただ、登録要件などを知らずに、「商品名考えたぞ!通気性が良いマスク!」と、それはそもそも商標としての適格性がないというような初歩的なミスが起きる、というようなケースが相当数あるとは思います。また、ちゃんと調査をせずに、他社と似た商標をそのまま出したり…

何も調査せず、「自分が考えたんだから登録になるに決まっている!」みたいな考えの方が結構いらっしゃるんですよ。



スタッフ:なるほど…。となると、やはり”調査”が肝ですね。その調査については、J-Platpatのような調査システムを使って自分で調べるという方法と弁理士さんへの依頼を通して調査する方法が多いのですか?



中村先生:そうですね。その二つが多いと思います。ちなみに、弁理士に依頼する場合でも商標の実務経験によってクオリティに差が出ることもあります。



スタッフ:それはどういうことでしょうか?



中村:商標の類否判断や識別力の判断に加え、商標調査手法でも、専門知識や実務経験によって精度に差がでることがあるということです。



スタッフ:なるほど。先日、中村先生にご執筆いただいた「J-PlatPatの検索範囲について」という記事にもあった通り、例えばJ-PlatPatを同様に使用したとしても、検索範囲などの特性を理解していないとミスが発生してしまいがち、というお話にも繋がりますね。



中村:そうですね。簡易検索を使って検索してみると出るものも、例えば、「マークストーン」を「マークストン」と検索したら出てきません。
でも、審査では「マークストーン」と「マークストン」は類似関係になります。なので、実際には簡易検索ではなく、検索対象種別で類似検索で調べないといけないんですよね。
弁理士が簡易検索だけで済ますケースは少ないとは思いますし、社内の知財部門でちゃんと調査を行っている場合は問題ないことが多いのですが、こういうカラクリを知らずに「調査はできた」とおっしゃる方も実はいらっしゃって、改めて調べてみるとNGなこともあります。
申し訳ないですけど、「商標出願初めてだけど、自分で調べたんで大丈夫です!」という人はたいていできてないことが多いですね…。



スタッフ:確かに今操作画面を見ながらご説明いただきましたが、初見だとちょっと複雑でしたね。使い方次第で精度が大きく変わることがよくわかります。



中村:そうですね。調査はツールの「使い方」と「出てきた結果への評価」がポイントだと思います。商標の調査は、商標登録可否や他社の権利に抵触しそうか、などの判断に関わることなので、実は、出願手続きよりも専門性のある作業だと思います。

検索でヒットした商標とこれから出願する商標とが類似するのかどうかは、単純に何文字違えばOKとかいう話ではないので、一見してわかりづらいこともあります。
そのため、登録可能性の高い商標を出願するために、出願手続きを自分でするとしても、調査は専門家の客観的な意見を聴く等して、より確実な方法を取った方が良いと思います。

TM-RoBoは、あくまで個人的見解ですが、簡易的に客観的な可能性を示してくれる点で専門知識がなくても使えると思います。自社のリソース次第で、社内調査や専門家による調査との併用も良いと思います。







みなさま、「商標調査の基本」シリーズいかがでしたでしょうか?
とっても基礎的な内容でしたが、商標初心者の方々はもちろん、すでにご存知の方々にとっても振り返りを兼ねてお楽しみいただけましたら幸いです。
本シリーズ過去のアーカイブもございますので、まだご覧になっていない方はぜひご覧ください。



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[取材協力]

中村祥二
Markstone知的財産事務所 弁理士

<関連リンク>
WEB       : https://www.markstone.jp/
BLOG     : https://brand-on-marks.com/
note     : https://note.com/markstone
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