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商標検索とは?日本の製造業が知っておくべき基礎知識

日本の製造業において、製品やサービスを他社製品から区別するためには商標を付けることが不可欠であり、できれば特許庁に商標出願し、登録を受けることが望ましいと言えます。
このように商標を使用したり、商標出願する前に重要なのが、商標検索です。
本記事では、商標検索とは何か、そして商標検索の方法について解説します。
<目次>
商標検索とは
商標検索の目的
商標検索とは、既に登録されている商標を確認するための調査です。
ブランド保護や市場での差別化を図るためには商標が不可欠ですが、単に商標を作成するだけでは不十分です。まずはその商標が既に登録されているかどうかを検索して確認する必要があります。
商標検索を行わないリスク
既に登録されている商標(「登録商標」といいます)は、出願時に指定した商品・役務(「指定商品役務」と言います)での使用を独占する権利があります。
このため、せっかく考えたネーミングが既に登録商標として存在している場合、そのような商標を出願しても特許庁に数か月後には拒絶され出願費用が無駄になるだけでなく、もう一度商標を考え直す必要がありますので、ブランド戦略の遅れにより大きな損害に繋がりかねません。
また、出願しないとしても、そのような商標を使用してしまった場合、その登録商標の権利者から法的措置を受けるリスクがあり、企業やブランドのイメージが大きく毀損されかねません。
このような事態を未然に防ぐために「商標検索」が実務的に必須不可欠とされています。
一般的な商標検索の方法
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を使った基本的な検索手順
商標検索は、各社が提供している商標検索ツールを利用して行うことになります。
ここでは、特許庁の関連法人であるINPITが提供する「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を利用して検索するやり方について説明していきます。
なお、J-PlatPatは、無料で商標検索を行うことが可能です。
同一の商標が登録されていないかを確認する方法
J-PlatPatの商標検索から「商標(検索用)」で同一の商標を検索することができます。
登録商標は、同一の商標の使用を独占する権利が発生しますが、一定の類似する商標についても独占的な権利が及びます。
しかし、この方法だと入力商標と完全一致か部分一致(入力商標の一部が完全に一致)の商標しか調べることができず、いわゆる類似している登録商標を検索することはできないので注意が必要です。
類似の商標を検索する方法
類似の登録商標を調査する手段として、J-PlatPatでは「称呼(類似検索)」が用意されています。
「称呼(類似検索)」を使うと入力した商標と類似している登録商標もヒットします。
ただし、「称呼(類似検索)」は、商標そのものではなく、商標の読み(「称呼」といいます)が検索対象となりますので、この点は注意が必要です。
また、「称呼(類似検索)」でヒットする商標は、調査商標と似ていないものも多数含まれていることも珍しくないうえ、似ている順番に必ずしも並んでいるわけではないので確認の際は注意が必要です。
商品・役務による違いと注意点
登録商標は、指定商品役務が同一である場合に権利範囲が及ぶことはもちろんですが、類似の指定商品役務にも権利範囲が及ぶとされています。
このため、「商標(検索用)」と「称呼(類似検索)」のいずれで検索する場合にも、検索範囲を適切に特定することが重要となります。
指定商品役務は、区分といわれるカテゴリに分類されていますので、区分で検索範囲を特定して検索することができます。
しかし、区分内の指定商品役務は同カテゴリではあっても、必ずしも類似の関係にならないこともありますし、逆に異なる区分の指定商品役務間であっても類似の関係にあることもあります。
そこで、指定商品役務が類似しているかの観点から分類した類似群コードが特許庁から公表されており、J-PlatPatではこの類似群コードで検索範囲を特定することが可能となっています(J-PlatPat以外の検索サービスでも一般的には検索可能となっています)。
上記のことから、正確な調査のためには、適切な類似群コードを検索範囲として特定することが望ましいと言えます。
まとめ
商標検索は、企業における知的財産戦略の重要な一環です。企業の未来を守るための重要なステップであるという認識のもと商標検索を適切に行うことで、企業のブランド保護や市場での競争優位を確保できます。
また、商標検索ツールを活用することで、商標調査を効率化し、より迅速かつ確実な商標戦略を実現することができます。
IP-RoBo広報部
執筆日:2025年5月14日