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コラム

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【商標調査最前線コラムシリーズ第1回】ビジネスの「顔」を守る!はじめての商標調査

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みなさん、こんにちは!  IP-RoBoの岩原です。
2025年4月30日に技術情報協会から発刊された書籍「“知財DX”の導入と推進ポイント」(※1)401頁~414頁に、私が執筆した「商標調査におけるAI活用の問題点および可能性」が掲載されました。

このコラムシリーズでは、ちょっと難しそうに聞こえるけれど、実はあなたの会社のビジネスにとって、とっても大切な商標調査の最前線について、上記執筆内容をもとにわかりやすくお話ししていきます。

第1回は「商標ってなに?」「なんで商標調査が必要なの?」という基本のキホンに迫ります!

 ※技術情報協会「“知財DX”の導入と推進ポイント」401頁(2025年4月30日発刊)(https://www.gijutu.co.jp/doc/b_2292.htm



<目次>


商標って、あなたのビジネスの「顔」なんです!

想像してみてください。あなたが一生懸命考えたお店の名前や、自信を持って作った商品につけるマーク。
「あ、このマークがついているから、あの会社の商品だ!」とか「この名前のお店、美味しいんだよね!」と、お客様がすぐに認識できる、いわばあなたのビジネスの「顔」であり、「信頼の証」ですよね。
これが「商標」です。

▲登録第6465046号

▲登録第5728674号




商標は、事業者が、自分たちの商品やサービスを、他の人のものと区別するために使う「識別標識」だとされています(※2)。

※2 https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/chizai08.html




なぜ商標を登録する必要があるの?

この大切な「顔」である商標。特許庁という国の機関に出願して、ちゃんと「登録」してもらうと、実はとっても強力な権利を持つことができるのです。
それが「商標権」です。
商標権を取ると、登録した商標を、指定した商品やサービスについて「自分だけが独占して使える」ようになります。
つまり、「この顔(マークや名前)は、うちだけのものです!」と胸を張って言えるようになるわけですね。
これって、すごく大事なことなのです。なぜなら、自分たちの会社や商品・サービスのブランドイメージをしっかり築いていく上で、他の会社に勝手に同じ、あるいは紛らわしい商標を使われてしまっては困りますよね。商標権は、そうした事態を防ぎ、あなたのビジネスの「顔」と、それによって培われた信頼を守るために、欠かせないものなのです。

シリーズコラム サムネイル.jpg


商標権を取るための「最初のハードル」
~それが「商標調査」!

さあ、この強力な商標権を手に入れよう!と思っても、実はいくつかのステップを踏む必要があります。法律で定められた様々な要件をクリアしなくてはなりません。
その中でも、商標権を取るための最初の、そして非常に重要なハードルとなるのが、「商標調査」なのです。
商標調査は、商標を「出願する前」や、実際にその商標を「使い始める前」に行うことが一般的です。何のためにやるかというと、一番の目的は、「これから自分が使いたい、または登録したいと考えている商標と、『似ている』商標が、すでに他の人によって出願・登録されていないか?」を調べることです。これを「類否調査」と言います。
もし、あなたが使いたい商標が、すでに他の人が登録している商標と「似ている」と判断されてしまうと、残念ながらあなたは商標権を取得できなかったり、後々トラブルになったりする可能性があるからです。


「似ているか」はどう調べるの?

「類否調査」と聞くと、なんだか難しそうですよね。でも、基本的には以下の2つの視点から調べます。

(1) 文字類否調査

あなたが使いたい商標が「文字」でできている場合に行います。例えば、会社名や商品名など、文字の並びや響きが似ていないかを調べます。
例えば、下記の2つの商標は、綴りは少し異なりますが、「プレール」とどちらも読むことができるため、一定の共通点と異なる点があり、類否判断が必要となります。

▲登録第5975380号

copy_シリーズコラム1 画像3修正.png

▲登録第4817935号

シリーズコラム1 画像4修正.png



(2) 図形類否調査

ロゴマークのように「図形(絵)」を含む商標の場合は、文字の部分に加えて、図形の部分も似ていないかを調べます。文字と図形の組み合わせ全体としても判断されます。
例えば、下記の2つの商標は、首になにかを巻いているクマが立っているという点で共通ですが、色や表情、動作が少し異なっているため、やはり類否判断が必要となります。



▲登録第5725291号



▲登録第6141352号




商標調査、実はとっても大変!

商標がビジネスに不可欠で、商標調査がその第一歩であり、他の登録商標と「似ていないか」を調べることが重要だ、ということがお分かりいただけたかと思います。
実はこの「似ているか似ていないか」を判断することは、プロにとっても非常に難しく、時間のかかる作業となっています。
そのため、「商標調査」という業務は、会社の経営戦略の中でも特に「どうすればもっと効率的にできるか?」ということが、今、すごく重要な課題になってきています。
最近のIT化やDX化、さらにAIの技術も、この商標業務、特に調査の効率化に活用され始めています。


まとめ

今回は、商標がビジネスの「顔」であり、それを守るための商標権、そして商標権取得の第一歩である商標調査について簡単にご紹介しました。
特に、他の商標との「類否(似ているか似ていないか)」を調べることが、商標調査の中心であることがお分かりいただけたかと思います。


次回は、この「類否判断」がなぜそんなに難しいのか、もう少し踏み込んで見ていきます。



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[ 執筆者 プロフィール ]

岩原 将文 /株式会社IP-RoBo CEO 弁護士

主として、特許、著作権その他の知的財産権に関する相談、契約、訴訟等を行う。
大学・大学院時代には、機械学習に関する研究を行っていた。

<関連リンク>
WEB:https://ip-robo.co.jp/

お問い合わせ:info@ip-robo.co.jp

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