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毎年改定? “類似商品・役務審査基準”とは ~時期や注意点について~
(注:この記事は2021年10月29日み配信された内容となります。)
こんにちは、弁理士の中村です。
今年も来年の類似商品・役務審査基準(案)が公表されましたので、今回は「類似商品・役務審査基準の改定」についてお話ししたいと思います。
1.類似商品・役務審査基準とは
「類似商品・役務審査基準」とは、特許庁が公表している、商品・役務の類似関係を整理した資料です。指定商品・役務の類否審査の統一基準として、主に他人の先行商標登録との抵触関係の審査に際して使用されています。この「類似商品・役務審査基準」は、過去のものを含め、特許庁の公式サイトからダウンロード可能です。(類似商品・役務審査基準 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp))
そして、「類似商品・役務審査基準」は特許庁の審査官だけでなく、出願人側の企業担当者や代理人弁理士も頻繁に使用します。
出願人側としての「類似商品・役務審査基準」の用途は主に次の2つです。
(1)採用可能な商品・役務の表示及びその区分の確認
商標出願での指定商品・役務の表示は明確でなければなりません。また、定められた区分(第1類~第45類)に従って記載しなければなりません。
「類似商品・役務審査基準」に掲載された商品・役務は、特許庁が明確であると認めたものなので、指定商品・役務の表示や区分の確認に類似商品・役務審査基準を用いることができます。
(2)商品・役務の類否関係(類似群コード)の確認
商標調査の場面では、的確な調査を実施するために、出願予定の商標を使用する商品・役務の類似範囲(類似群)を把握してから調査を行うのが一般的です。「類似商品・役務審査基準」はその類似範囲(類似群)を調べるために用いることができます。
2.類似商品・役務審査基準の改定のタイミング
このように、出願人側としても利用価値の高い「類似商品・役務審査基準」は毎年その内容が改定されています。
その改定タイミングは、毎年1月1日です。そして、改定の前に改定内容を周知しておく必要があるため、通常、11月中旬以降に翌年(1月1日~12月31日)に適用される「類似商品・役務審査基準」が公表されています。そうすると、あと半月ほどで来年適用される「類似商品・役務審査基準」が公表される見込みです。
ただ、実は、その前に意見(パブリックコメント)を求めるという形で、翌年の類似商品・役務審査基準の案が事前に公表されるため、今年もすでに10月6日に来年の類似商品・役務審査基準(案)が公開されました。
まだ最終決定ではないものの、変更予定の点について、すでに確認することができ、また、それに対して意見があれば特許庁に伝えることができます。ちなみに、意見募集は11月4日(木)までです。
3.類似商品・役務審査基準の改定で注意するところ
「類似商品・役務審査基準」の改定で私たちが注意しなければいけないのは、商品・役務の区分移行です。
例えば、今年までの「類似商品・役務審査基準」では商品「衛生マスク」は第5類に該当していますが、来年は第10類に移行される予定です。
つまり、今年12月31日までの出願では「衛生マスク」は第5類の商品として出願しなければならなかったのが、2022年1月1日以降の出願では、第10類の商品として出願しなければ、“政令で定める区分に従っていない“として拒絶理由の対象になってしまうのです。
今回公表された類似商品・役務審査基準(案)には、区分が移行される商品・役務は12個あります。
この12個に自社が指定する商品・役務が含まれる場合には、年明けの出願の際には区分の指定を誤らないよう十分にご注意ください。
4.最後に
区分の移行に伴って出願区分数が増える見込みの場合には、出願費用の抑制や商標権の管理の観点から年内に出願を終わらせる方が良い場合もあります。来年適用される「類似商品・役務審査基準」の公表は11月中旬以降になると思いますので、必要に応じて年内の出願や、来年の出願体制への準備をおすすめします。
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[ 執筆者 プロフィール ]
中村祥二
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(コラム編集担当)