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コラム

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商標調査の基本#02 「特許と商標の保護範囲について」

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本シリーズ初回の「商標調査の基本 #01 ~そもそも商標権って?につづき、今回は第2回目。主に「特許権と商標権が持つ保護範囲」について、弁理士の中村先生と我々、商標調査勉強中のスタッフとの対話方式でお届けいたします!

 

 

 

________商標調査#01の続き

 

IP-RoBoスタッフ(以下、スタッフ) :わかりやすい!ここまでは理解できた気がします。ちなみに、商標ではなく特許の部分だと思うのですが、ひとつ質問です。今では当たり前となってますが、携帯電話にカメラをつけた最初のメーカーは特許権を申請しなかったんですかね?今やメーカー問わずどの製品でも付いてるのはなぜでしょうか?

中村先生(以下、中村):特許は、権利の範囲が全て文章で示されているんです。例えば、「雪見だいふく」のパッケージには特許番号というものが表記されていました。その番号の詳細を見てみると、製品の権利範囲の全て記載されています。(下記図参照)




そのため、「アイスをもちで包んだもの」は全て作れないのかというと、実はそうではなく、ここにある範囲を全て行うと特許の侵害になってしまう、という仕組みなります。ご質問いただいた携帯電話に付いているカメラについても、単に「カメラを携帯電話に付けた」だけだと、単なる組み合わせというだけですので、特許にはなりません。「どのようにつけるのか」といった構造などが、権利範囲として明記できるのです。また、その範囲を外すことで、他社は利用することができます。

 

スタッフ:では、「雪見だいふく」という名前で全く違う商品であれば、作ることは可能なのですか?

 

中村:そこが特許と商標の違いなんです。特許では、上記図のような権利範囲を、商標では「雪見だいふく」というネーミングそのものを保護します。だから、「雪見だいふく」の名称を使って、特許権権利範囲(上記図)とは違うアイス(例:餅使わないアイス等)を作っても「雪見だいふく」の商標権の侵害になってしまうのです。

要は、特許の場合は「特許請求の範囲」という言葉での制限がありますが、商標の場合は「マーク」と「指定商品・指定サービス」で制限をかけることが可能なのです。「雪見だいふく」の場合は、アイスなので菓子やパンも類似範囲となり、「雪見だいふく」という名称でスナック菓子を作ってもいいのかというと、そうではありません。スナック菓子も権利に入っているんですよね。







例えば、英語の「ASAHI」という商標ですが、靴の分野だと「アサヒシューズ」、自転車販売だと「サイクルベースあさひ」、飲料やビールだと「アサヒビール」とそれぞれ別の企業が権利を取っていて、それぞれに商標権があります。

「同じ英語表記でも、ロゴが違うから登録できた」という訳ではなく、「分野」が違うから登録できたのです。特許の場合は、特許請求の範囲という中の言葉を見ないといけないのですが、商標の場合はマーク(商標)と商品・サービスの部分を見ないと権利の範囲はわからないということです。

 

スタッフ:なるほど。商標の方がみんながある程度取りやすく、そこにさらに過去から続く問題を解決する何らかの目新しさ、みたいなものが備わった時に特許を申請したいみたいな感覚ですか?

 

中村:そうですね。でも、商標と特許どちらかが取りやすいということは実際にはありません。新しい商品の開発時に、その商品が何らかの問題を解決するようなこれまでなかった物であれば特許の対象に、デザインも新しければ意匠権の対象に、最後に、いざ世の中に出す時に名前をつけるとなると商標になる。あくまで、段階の話ということですね。

ちなみに、最近はコンビニのプライベートブランドでは、商標はコンビニのマークのみで、商品名は「緑のたぬき」みたいなネーミングは特になく、そのまま「メロンパン」「きつねうどん」と書いてあるだけのことも多いです。

商標も調査・出願・登録と全てにコストかかるので、このようにシリーズ名だけつける形でコストカットに繋げることもできますね。

 

スタッフ:なるほど、そういう工夫もあるんですね。

 

中村:おそらくですが。笑

 

スタッフ:特許だけ取得しておいて、商標は取らないみたいなことはあるんですか?

 

中村:BtoB向けの技術的な製品だと、特許だけ取得して商標は取得しないというケースもありますね。実際、年間18万件くらいの商標出願数に対して、特許は近年だいぶ減少傾向にありますが、それでも年間30万件くらいはあるので、特許の方が実際は多いんですよ。

 

スタッフ:それは意外でした。

 

中村:理由は簡単で、一つの商品のなかに発明やデザインはたくさん詰まっているからです。一つ車を開発したとして、その中には多くの技術が使われている、というのを想像するとわかりやすいかもしれません。対して、発売する際は商品として1つのネーミングで良いので、出願も1件で済みます。だから商標の方が数的には少ないということになりますね。

 

スタッフ:最近、個人事業主も増え、小さなサービスが溢れているこのご時世だと商標の方が身近に感じてしまいますね。保護という面もですが、どちらかというと権利侵害に対して、気をつけないといけないなと。

 

中村:そうですね、件数でいえば特許の方が多いですが、先ほども述べた通り、発明は製造業やある程度の規模があるサービス業の企業の出願が多いですね。商標の方が利用する裾のが広いとは思います。小売店や小さな飲食店でも店名など商標の出願はしますから。

 

スタッフ:一般的に、商標の方が日常で目にしたり触れたりしている機会が多いでしょうね。まずは商標について学ぼう!と思ってましたが、なんだか特許も商標もどちらも知りたくなってきました…笑 

 

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本日はここまで。次回はどんなことを中村先生にお聞きできるのか!乞うご期待ください。

 

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[取材協力]

中村祥二
Markstone知的財産事務所 弁理士

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