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J-PlatPatの検索範囲について
商標調査に関わる方のほとんどの方は、特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」を一度は使用したことがあるか、少なくとも耳にしたことがあるのではないでしょうか?特許庁による調査システムという安心感と何よりも無料で利用できるというのは、大きなメリットだと思います。
そこで今回は、弁理士という視点から「J-PlatPatを利用して商標検索する際のデータ蓄積範囲の留意点」についてお伝えしたいと思います。
1、J-PlatPatにおけるデータ蓄積範囲とは
商標出願するとすべての出願がJ-PlatPatで公開されますが、掲載されるまでにタイムラグが生じてしまいます。そのため、J-PlatPatで商標調査を実施した時点では、すべての先行する商標を網羅して検索できるわけではありません。
そして、商標権は先願主義(先に出願した人が権利を取れる制度)になっていることから、調査実施時にJ-PlatPatに掲載されていなかった他社の商標出願を理由に、こちらの出願が拒絶される可能性がないとは言い切れないのです。そのため、商標の調査時に、調査でカバーしている出願や権利の時期的な範囲(J-PlatPatの蓄積範囲)を記録しておくことは、調査の客観性を担保する上で非常に重要になります。
2、蓄積範囲の確認方法
この蓄積範囲は、J-PlatPatの「商標検索」の場合は、ページ最下部の「+関連情報」をクリックすると出てくる「文献蓄積情報(商標)」のウィンドウの下段部分「出願・登録情報」で確認ができます。
例えば、この投稿を執筆している2021年2月14日時点では、出願日については最新日付が「2021/1/27(2021-009092)」になっています。つまり2021年1月27日の出願まで、調査対象に含まれている、ということになります。しかし、実はそこには若干の語弊があり、この最新日付の出願日の商標を検索すると、ヒットするのはたったの4件でした。年間約19万件の商標出願があるのに、1日4件なんてことはありえません。
ここでヒットした4件はいずれも“分割出願”なのです。(どういうこと?続きは3へ)
3、通常の商標出願の蓄積範囲は?
そこで、出願日を一日ずつ遡ってみました。
2021年1月14日(木)までは、一日あたり0~数件程度でしたが、2021年1月13日(水)では、403件と一気に増えていました。内容を確認すると、やはり、2021年1月13日の検索でようやく通常の商標出願がヒットしました。
つまり、通常の商標出願は、2021年1月27日ではなく、それよりも前の2021年1月13日までの出願が検索対象として蓄積されているのです。言い換えると、2021年1月14日~2021年1月27日の出願は、分割出願などの特殊な出願のみが検索対象になっているのです。
4、まとめ
ここまでをまとめると、分割出願の件数が一日当たり数件程度であることを考慮し、J-PlatPatの商標検索でカバーされる出願は、1ヶ月程度のタイムラグはあるものだと理解しておいたほうがいいということになります。
J-PlatPatを利用した商標調査時には、J-PlatPat上で表示されるデータ蓄積範囲と、通常の商標出願の蓄積範囲が異なる点に、十分にご留意ください。
私の視点からみたTM-RoBoについてもお伝えしたいところですが、まずは、商標調査に関わるほとんどの方がご存知であろうJ-Platpatの実務的な留意点についてお伝えしました。
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[ 執筆者 プロフィール ]
中村祥二
IP-RoBo CTMO
Markstone知的財産事務所 弁理士
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(コラム編集担当)